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膀胱移行上皮癌・前立腺癌の 検査(BRAF遺伝子変異検査)改良2023.07.21

日頃、遺伝子検査をご利用いただき、誠にありがとうございます。2023年7月より犬の膀胱移行上皮癌・前立腺癌の評価に有用なBRAF遺伝子変異検査を改良いたしましたので、ご案内いたします。
犬の膀胱移行上皮癌、前立腺癌の診断ツールとしてBRAF遺伝子変異検査が有用です。本検査はBRAFの595番目のアミノ酸置換(V595E)を検出する検査です。膀胱移行上皮癌・前立腺癌からは変異が検出されますが、良性のポリープや炎症組織からは検出されたという報告はありません。したがって、変異が検出された場合には癌である可能性が非常に高いと言える検査です。しかし、膀胱移行上皮癌・前立腺癌と診断された検体のうち変異が検出される割合は65~85%であるため変異が検出されない癌が存在することが問題です(1, 2, 3)。

2023年4月、V595Eの変異が存在しない膀胱移行上皮癌28例のうち13例(46.4%)からBRAF遺伝子のエクソン12、MEK遺伝子エクソン2、 MEK遺伝子エクソン3のいずれかに変異が検出されたと報告されました(4)。そこで弊社で解析を行ったところ、論文の報告の様に高い確率ではなかったもののMEK遺伝子に変異が検出されました(表1)。またMEK遺伝子の2つの変異は非腫瘍性病変の検体からは検出されず、同時に移行上皮癌・前立腺癌以外の悪性腫瘍からも検出されませんでした。これらの結果よりMEK遺伝子の変異の有無は膀胱移行上皮癌の評価に有用であるとが示唆されました。この結果を受け改良された検査では、これまでと同じ費用で従来のBRAF遺伝子V595Eの他に、MEK遺伝子エクソン2およびエクソン3の3つの変異を検出します。改良によりこれまで変異が検出されなかった検体からも変異が検出されるようになり、診断につながる症例が増えると予想されます。膀胱移行上皮癌・前立腺癌の診断にご活用下さい。尚、BRAF遺伝子エクソン12の変異の検出は、しばらくの間、実施を見合わせます。
1: Mol Cancer Res. 2015 ;13(6):993-1002.
2: Plos One 2015 ;10(6):e0129534.
3: PLoS One 2015; 10(12): e0144170.
4: PLoS Genetics 2023; 19(4):e1010575.

 

 

改良後の検査

◇解析部位
BRAF遺伝子 エクソン15 V595E(従来の解析部位)
MEK遺伝子 エクソン2 欠損変異(新規)
MEK遺伝子 エクソン3 欠損変異(新規)

◇検査費用
¥10,000(税抜)
* 遺伝子変異検査と細胞診のセット:¥14,000(税抜)
* 遺伝子変異検査と病理診断のセット:¥16,000(税抜)

◇検体(スライド標本以外は冷蔵保存)
組織(米粒大)、 尿(1~300mL)、前立腺マッサージ液
膀胱・尿道洗浄液(1~300mL) 、 細胞診用スライド標本
*腫瘍化した細胞が検体に含まれていないと検出が困難です。
*ホルマリン固定は検査を阻害します。

◇報告日数
7営業日(ケーナインラボに到着後)
* 病理検査を含む場合には、10営業日

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