お知らせ

猫の第XI(11)因子欠損症遺伝子検査2023.03.22

2022年、スイス・ドイツ・アメリカのグループから血液凝固因子の一つである第XI(11)因子の遺伝子変異が猫で初めて報告されました(1)。報告によると変異を有する個体では第XI因子の516番目のバリン(V)がメチオニン (M)に置換され活性が著しく低下します。臨床的には変異ホモの個体では軽度から中等度の止血異常を呈します。さらに内因系因子の活性の指標となる活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が延長します。
本変異はメインクーン品種にのみ確認され他の品種では確認されていません。遺伝子変異頻度は米国で0.51、ヨーロッパで0.23でした(表1)。国内における研究報告はありませんが社内調査では0.097でした(表1)。また、弊社に第XI(11)因子欠損症と同様にAPTTが延長する第XII(12)因子欠損症遺伝子検査の依頼があったメインクーン5例を解析したところ2例で病的変異ホモ(3例は変異なし)でした。これらのデータから米国・欧州に比べ遺伝子変異頻度は低いものの国内のメインクーンにおいても変異を有する個体が存在することが明らかとなりました。また、第XII(12)因子欠損症では基本的に止血異常は起こりませんが、第XI(11)因子欠損症では止血異常が起こるため、APTTが延長しているメインクーンにおいて第XI因子欠損症遺伝子検査は臨床的に重要な検査であると考えられます。

1: Genes 2022, 13, 792, A Common Missense Variant Causing Factor XI Deficiency and Increased Bleeding Tendency in Maine Coon Cats.

 

 

◇解析遺伝子と変異部位
ネコの第XI因子(Factor 11)、c.1546G>A (gtgctggGtgactgg)、p.V516M

◇解析方法
DNAシーケンス法

◇検査費用
お問合せ下さい

◇検 体
全血(EDTA)-0.5cc *血清・血漿では検査できません。

◇対象品種
メインクーン *他の品種でも検査は可能ですが、検出される頻度は極めて低いと考えられます。

◇報告日数
10営業日(ケーナインラボに到着後)

PAGETOP