新規検査・検査の小規模変更のご案内2023.03.22
爬虫類のクリプトスポリジウム属遺伝子検査
これまで特別にご要望があった時にのみ爬虫類からクリプトスポリジウム遺伝子検査を受託してきましたが、検出方法が確立できたため正式に受託を開始します。他の検出方法でクリプトスポリジウム陽性と判定されたトカゲの糞便10検体と陰性と判定された11検体を用い検査の精度を検証したところ、クリプトスポリジウム陽性検体では全検体から陽性反応が得られ(10/10)、陰性検体からは陽性反応は1例も得られませんでした(0/11)。感染の有無の判別にご利用下さい。
◇検出方法:PCR法
◇検査費用:お問合せ下さい
◇検 体 :糞便(小豆大)
◇報告日数:5営業日(ケーナインラボに到着後)
鳥のクリプトスポリジウム属遺伝子検査
鳥の感染症の検査にクリプトスポリジウム遺伝子検査を追加します。クリプトスポリジウムは糞便の検鏡で検出するのが一般的ですが検出するには経験を要するため判断に迷う場合があります。遺伝子検査は客観的に病原体の有無を判断します。
◇検出方法:PCR法
◇検査費用:お問合せ下さい
*他の病原体(クラミジア、マクロラブダス等)と一緒にご依頼いただくことができます。
◇検 体 :糞便(小豆大)
◇報告日数:5営業日(ケーナインラボに到着後)
鳥のマイコプラズマ遺伝子検査の変更
これまで鳥のマイコプラズマ遺伝子検査では臨床的に重要とされているM. gallisepticumとM. synoviaeを特異的に検出してきました。しかし、マイコプラズマをご依頼いただいた131検体を解析したところ、1検体からも陽性反応は得られませんでした。そこで種特異的な検出ではなくマイコプラズマ属に含まれる菌種を広く検出する方法を導入します。
M. gallisepuicum, M. synoviaeが陰性であった131検体を用い改良された検査を行ったところ11検体から陽性反応(DNAが増幅された)が得られました。増幅されたDNAの配列を読んだところ(DNAシーケンス)、全てマイコプラズマであることが確認できました(社内データ)。
検査の改良により陽性率が上がります。しかし、マイコプラズマ属に含まれる菌種を全て検出できる検査ではありません(マイコプラズマには多様性があり、弊社では全菌種の検出方法の確立は困難です)。また、病原性が確認されていないマイコプラズマを検出してしまう可能性を否定できません。
◇検出方法:PCR法
◇検査費用:お問合せ下さい
◇検 体 :拭い液(咽頭)
◇報告日数:5営業日(ケーナインラボに到着後)
ネコボカウイルス遺伝子検査
パルボウィルス科ボカウイルス属ネコボカウイルスは近年、猫の消化器疾患の原因の一つであることが示唆されたウイルスです(1)。ウイルスの直接的な病原性は未だ明らかになっていません。しかし、弊社の社内調査では他の病原体との重複感染が多いことが明らかとなりました。弊社の下痢パネルをご依頼いただいた猫の便215検体の解析を行ったところ26検体からネコボカウイルスのDNAが検出されました(陽性率:12.1%)。陽性の26検体のうち25検体からは他の病原体(トリコモナス、ジアルジア、ネココロナウイルス、パルボウイルス)も検出されました。この様なボカウイルスの重複感染はヒトや豚で確認されています。ヒトでは急性上気道感染症の小児の検体からヒトボカウイルスが他の病原体と共に検出されます(2) 。豚では離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)の子豚においてブタボカウイルスがブタサーコウイルスなどとともに検出されます(3) 。これらの報告と社内調査の結果からネコボカウイルスは他の病原体と重複感染することで下痢の一つの原因(もしくは増悪因子)となっている可能性があると考るに至り検査を受託することとしました。
◇検出方法
PCR法
◇検査費用
お問合せ下さい
◇検 体
糞便(大豆大)
◇報告日数
5営業日(ケーナインラボに到着後)