猫コロナウイルス遺伝子検査の解説

検出率の比較(感度・特異度)

1) Simons FA et al. J Virol Methods. 2005 124:111-116.
2) Herrewegh AA et al. J Clin Microbiol. 1995 33:684-689.
3) Dunbar D et al. J Feline Med Surg. 2018 doi: 10.1177/1098612X18809165.
4) Doenges SJ et al. J Feline Med Surg. 2016 18:104-109
5) Doenges SJ et al. J Feline Med Surg. 2017 19:344-350
6) Stranieri A et al. J Vet Diagn Invest. 2018 May;30(3):459-463

Check Point 1

健常猫の末梢血・脳脊髄液、腫瘍や循環器疾患で貯留した胸水・腹水、
他の疾患の肉芽腫からFCoVは基本的には検出されません(「検出率の比較」参照)。
FIPを疑う臨床症状があり、これらの組織からFCoVが検出された場合には確定診断につながります。

Check Point 2

FCoVの遺伝子検査は検体により感度が異なります。
感度が高い検体でご依頼ください。
優先順位の高い順に検体を並べましたのでご参照下さい。

ウェットタイプ

1.胸水・腹水(感度:80~90%)
2.血液(感度:~70%)

ドライタイプ

1.肉芽腫の針生検(感度:80~90%)
2.脳脊髄液(神経症状ありの感度:~80%)
3.血液(感度:~70%)

よくあるご質問

遺伝子検査により腸コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎ウイルスを区別できますか?

区別できません。FIPは遺伝子変異を起こしたFCoVが原因であるとされ、遺伝子変異も複数の論文で報告されています。本検査は変異を起こしたFIPVを特異的に検出する検査ではなく、FIPVを含むFCoV全般を検出します。したがって、FCoVとFIPVを厳密には区別できません。
通常では検出されることのない組織から検出されるか否かを明らかにする検査です。

検査により将来の発症を予測できますか?

予測できません。血液・腹水・胸水・脳脊髄液・肉芽腫の針穿刺サンプルからFCoVが検出されなかった場合、「FIPを発症している可能性は低い」と言えます。しかし、多頭飼育や外飼の猫では消化管にFCoVが感染していることが多いため、将来的に発症する可能性は否定できません。また、糞便からFCoVが検出された個体が将来FIPを発症するのか否かの予測も困難です。

検出されなかった場合にはFIPを完全に否定できますか?

PCR法は遺伝子を増幅し検出する検査であるため、検出感度に優れています。しかし、感染初期などFCoVの量が少ない場合には検出が困難なことがあります(特にドライタイプ)。最初の検査では血液からFCoVが検出されなかったが数週間後の再検査で検出された経験があります。FIPの疑いが強い場合(特にドライタイプ)、複数回の検査により確定診断につながることがあります。

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